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バトンダイアリー

2020.08.15 山口梨恵

作家 水上勉氏の思想が息づく若州一滴文庫にて

この度私が訪れたのは、おおい町の緑豊かな自然の中にひっそりと佇む「若州一滴文庫」。
敷地の中心には美しい庭園があり、その周りをいくつもの建物が取り囲んでいます。
ここは、おおい町出身の作家である水上勉氏が、「子供たちが本を読むことで人生や夢を拾って欲しい」との想いから私財を投じて建てられた場所だそうです。
普段、私は子供たちの教育に携わっておりますので、このような場所で演奏できることを心から嬉しく楽しみにしておりました。

そして、今回演奏させていただいた会場はその中の一つ「くるま椅子劇場」です。ステージの背部が全面ガラス張りになっており、見事な竹やぶが!!こちらは普段、竹人形文楽などの公演に使われているそうです。

この空間に居るだけで、背筋が伸びるような気がいたします。

撮影にはお客様もいらしていただき、音楽監督の小松長生氏にも見守っていただきながら、竹の作用か(?)ピンとした空気が流れる中進んでいきました。空調を入れると音に影響が出るとのことで、暑さと湿気の中の収録でしたが、最後までお聴きくださった皆様に感謝の気持ちでいっぱいです。

演奏の後には、美しい庭園を抜けて本館へ。

3階建ての本館の中には、約2万冊の図書室や水上文学にゆかりの深い絵画作品のギャラリー、水上氏自身の資料、そして禅僧を顕彰する貴重な資料など並べられており、時間の許す限りずっと居たくなるような場所でした。

建物の名称の中にある「一滴」とは、おおい町出身の儀山善来(ぎさんぜんらい)和尚の「曹源一滴水(そうげんいってきのみず)」という思想に水上氏が感銘を受け、つけられたそうです。「一滴の水も粗末にするな」という教えとわかり、この場所のことを知れば知るほど、どう生きるか問われている、そのような気持ちになりました。

他にも、竹人形が展示された竹人形館や、軽食などが楽しめる六角堂など敷地の中に素敵な建物が並び、1日かけてまた訪れたいです!

このような建物を建てられた水上勉氏の思想に触れ、またその場所で演奏するという機会をいただき、大変貴重な経験となりました。

今回、まちかどコンサートを企画をしてくださった小松長生さん、県職員・撮影スタッフの皆様、そしてご協力いただきました一滴の里の皆様、ご来場くださったお客様に心から感謝を申し上げます。
画面を通して、聴いて下さる皆様が少しでも心癒されましたら幸いです。

次回は、若狭町熊川宿にて、フルートの三屋風さんの演奏です♪

 

山口梨恵ヴィオラ

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