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バトンダイアリー

2020.08.10 荒井結

旧大和田銀行で奏る音に乗せて

今回訪れた敦賀市立博物館は昭和初期(昭和2年)に竣工した旧大和田銀行を活用した博物館です。
今年の梅雨はなかなか明けてくれず、この日も雨でしたが車で到着した時にまず目に入ってきたものは建物の外観で、とても迫力のあるものでした。

この日は公開収録ということで、雨にもかかわらずたくさんのお客様が足を運んでくださりました。

昭和初期の建物でもあり、この日は1日中雨だったということもあり、弦楽器にとっては大敵の湿気との戦いでしたが博物館での音響はとても心地良かったです。
洋風の装飾の中、ヨーロッパの音楽を、しかも場所は「敦賀」というのがまた色んなことを結びつけているようでした。

収録後は博物館の中を見せていただきました。

銀行でありながら市民に開かれた公共のスペースなどもあり、「銀行にレストランが入っているなんて今の時代からしてもなかなかないよね!?」なんて撮影スタッフさんたちと話しながら楽しく撮影していただきました。

そして北陸初のエレベーターが導入されたのがこの旧大和田銀行であるということもお聞きし、当時の敦賀にとって先進的な建物だったことがわかりました。

また、当時の迎賓室がそのまま再現されており、その部屋に入った瞬間にタイムスリップしたかのような気持ちになりました。
撮影スタッフさんたちに頭取っぽい!って言って調子に乗せていただきました。笑

自分は福井生まれ福井育ちですが15歳の時に大好きな福井を離れて音楽を勉強するためにアメリカ、その後ドイツに渡りました。その土地での街並みや建物をたくさん見ている中でもヨーロッパの建物(教会や美術館、市庁舎など)はどの建物も重厚感があり、そして天井や柱にある洋風な装飾がとても上品に飾られていて日本ではなかなか見ることができないものが多いですが、今回敦賀で旧大和田銀行の建物に入り、どこか同じ空気を感じることができ驚きました。

留学時代に見てきたそれらのような建物が昭和初期の敦賀にあり、当時の人々が敦賀を拠点に日本の外交を盛んにしていったということを改めて感じることができました。

自分も日本人として、音楽というジャンルの中でも国境を超えて色んな国の音楽を「荒井 結」というフィルターを通して様々な場所で色んな方々に聞いていただき、当時の敦賀のように人々の橋になっていきたいと思いました。

素敵な機会をありがとうございました!

荒井結チェロ

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